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2018/03/02 名前の魔術

わたしの活動名「天海玉紀(あまみたまき)」は、武者江梨先生 →★ につけていただきました。この名前は本当につくづくわたしの大きな宝です。(武者先生は、中野ブロードウェイの「中野トナカイ」時代にトナカイに在籍なさっていて、たいへんお世話になりました。ありがとうございます!)命名をお願いしたのは忘れもしない2011年、東日本大震災の直前のいまの時期で、完成したお名前をいただいたのは3月末です。

「天海玉紀」という名前は、画数と私にとって重要な五行の配分とをご考慮いただいての命名ですが、最初は「あまりに立派すぎて気後れする…」ともじもじしていました。いまはリアルネームより、この名前を使うことの方が圧倒的に多い今日この頃で、すっかり自分が「たまき」になっているのをしみじみと感じます。だんだんと、この名前がもつ印象やイメージに適応するために、生身の自分が変わっていきました。まだまだ名前負けだと思いますので、これからもひたすら精進あるのみです。

あのとき命名をお願いする際に、最初から「たま(玉でも、珠でも)」を入れてください。とお願いしました。次に、自分の日干の丙(太陽)とバランスの良い壬=つまり「海」を入れてください、というお話になりました。そこから名字は「天海」になりましたが、有名な方は、天海祐希さん。徳川家に仕えて江戸の都市計画に携わったと言われる天海大僧正。あまりに壮大すぎて、いまもビビっている気持ちがどこかにあります。たまきの「き」は「樹」がいいです、とお願いしましたが、これは却下になって「紀」になりました。そのときはわかりませんでしたが、わたしの五行配分に木気(つまり樹)はもう必要なくて、紀=つまり己が望ましいのだと、勉強を進めたあとから気がつきました。

なぜ「たま」かといえば、もともとわたしのインターネット上のハンドルネームは「たま」でした。治療院の名前も「たまゆら」です。リアルネームは「はな」が入るので、音が似ていて抵抗がなかったのですが、リアルネームで呼ばれるよりも「たまさん」「たまゆらさん」と呼ばれていたことの方がずっと多いです。そもそもなぜ「たま」だったかといえば…こんな、記憶が、出てきた…orz

大昔にお付き合いのあったいまでいうところの「意識高い系」の人たちが、当時ベストセラーになっていた「チーズはどこへ消えた?」という書籍の話で盛り上がっていました。「人生は進んでいく。ぼくらも進まなくてはならない」というような、突然の変化にも恐れずに前向きに積極的に向かっていこう!というようなアグレッシブなポジティブ意識を強調するお話です。

その本の感想を目をキラキラさせて語るいわゆる「勝ち組」の人たちを、「へー。すごいねー(棒読み)」と白けた目で遠巻きに眺めていた私に「あなたはこの本のほうがが好きでしょう?」と、そっと話しかけてきた人は「バターはどこへ溶けた?」という本を勧めてくれました。

「バターがなくても幸せ。バターがあればもっと幸せ」「バターなんて、いや、この世のものはみんないつかはなくなるものさ」「なくなったものはしかたがない」その本にでてくる重要キャラクターは、ネコの「タマ」でした。タマちゃん、野心ゼロ。なるようになる。なるようにしかならない。無為自然の老荘思想風味満載です。そうか。やる気なさそー。だるそー。そうか。わたしは人から見るとこう見えるのかー。ダウナー上等。努力は尊いけど、必ず報われるとも限らないし、もし手に入ったものもいつか無くなる。それが自然の摂理よな。と、いたく納得しまして、それからわたしは「たま」と名乗り、「たまちゃん」とバーチャル空間のあちこちで呼ばれるようになり、ついにはリアルワールドでも「たまきさん」「たまきせんせい」なーんて呼ばれるようにもなったのであります。めでたしめでたし。

真面目な話をすれば、「玉=辛(かのと)」として象徴されるでしょう。磨き上げられた大切な宝石=玉、です。私の命式には辛が複数あって、これが時期の巡りによってどう反応するかで運気の流れが大きく変わります。そうそう。「天海玉紀」を命名いただいたのは、辛卯年の辛卯月(2011年の3月)でした。「辛=たま」が自分にとっての重要なポイントなのだと、学びが進んで理解が深まってから、はたと気がつきました。知らず知らずに自分が「はな」よりも「たま」を名乗ってきたのも、これでよかったにちがいない、と信じています。というのは表向きの理由で、やっぱりわたしは恬淡とした「たま」でいたい。

名前は一種の魔術です。わたしは姓名判断はできませんし、命名もできませんが、長くお付き合いのある方々のお名前作りのお手伝いをさせていただく機会はときどきあります。それぞれの人生の流れや、思いをひとつひとつ紐解いて、新しいイメージを作り出していく過程はなんともいえない味わい深い時間です。ひとりひとりの名前のうしろには、目には見えない多層的な物語やイメージが折り重なっていることでしょう。あなたの名前にはどんな歴史や思いがあるでしょうか。いつか機会があったらこっそり聞かせてください。(天海玉紀)

むかしむかし、こんな記事も書きましたとさ。

2016/04/01 THE FOOL


<追記>

このころちょうど、お名前作りをお手伝いさせていただいておりました。