「この人は寒い命式だから」という言い回しをはじめて聞いたとき、わたしは驚きました。え?驚きませんか?寒暖燥湿の偏りはその人の個性だけれど、理想の状態は「中庸」なので、時期運や相性で、全体のバランスを穏やかに美しく整えていきましょうよ、または開き直ってバランスを振り切った個性を際立たせていこうよ、というのが東洋的な発想です。
熱い寒いの話はぴんと来なくても、漢字がずらっと並んだ十干と十二支の表をただ丸暗記するのはなかなか大変だということなら、多くの人が納得してくださることでしょう。例によって勢い余って、こんな図を書きました。毎度おなじみ「陰陽五行用語の超訳!」です。
まずは「◎◎な季節に生まれた△△な人」というフレーズを考えてみてください。あなたが生まれた季節と、基本キャラクターの性質との関係はどうなっているでしょうか?
冬=寒い=水(壬・癸/亥・子・丑)←暗くて寒い。雨とか雪が降っているときの感じ。
春=湿った=木(甲・乙/寅・卯・辰)←暖かくなりはじめ、春のもやもやした霞の感じ
夏=熱い=火(丙・丁/巳・午・未)←温度というより、光が多いということ。明るく眩しい
秋=乾いた=金(庚・辛/申・酉・戌)←空気が澄んで、空が高くなる頃のすっきりした感じ。土用=混沌・中庸・変わり目=土(戊・己/丑・辰・未・戌)←たいへん複雑。
※ 丑(冬の水→土)辰(春の木→土)未(夏の火→土)戌(秋の金→土)
土の月生まれの人は、お生まれ日は土用の前か?後か?が重要。土用前なら属する季節、土用後ならそのまんま「土」としてみるのがセオリー(詳しくはここには書ききれない)
特定の要素が揃うなら、明らかにその性質が強い人です。向かい合っている要素を持つなら、大いなる矛盾の中を生きる人ですし、土揃いなら大いなる資源に満ちた人(またの名を頑固者!)ともいえるし、隣り合っている要素を持つなら二つの混合型でしょう。まずはざっくり雰囲気をつかむことがだいじです。しかし土の判断はちょっと難しいですね。どんどん姿を変えるし、すっきりと分類しにくい。複雑なんだな!ってことで最初はOK。それが土の性質です。(四元素の発想となちょっと違います)
例えば、今日(2019年3月8日)生まれならこんな図です。(とてもわかりやすい♪)さっき提唱した分類法に当てはめてみると「卯月に生まれた甲の人」→「湿った季節に生まれた湿った木の人」です。なるほど。ここのところ何日も降り続いた雨上がりに、しっとり濡れた木々の葉が思い浮かびます。芽吹いた若葉や若木のとぅるん★とぅるんの潤い、みたいな。
さらにチャレンジしてみたい人は、年・月・日のをぜんぶ五行に置き換えてみてはいかがでしょうか。亥・卯・辰はどれも湿った木の要素を含んでいます。木の気が多いですね、熱いのは丁だけで、地支に亥がある年干の己も湿った土でしょう。(開運法を考えつつ、運気の流れも見てみたいとか想像しつつ)全体の配分は、湿り気4つ、熱い気1つ、中庸1つ。
木気は五行の中で唯一の生き物です。生き物としての強さとは、人の役に立ちたいとか、かっこよくありたいとか、周りに評価されたいとか、そんなの関係ないですよね。誰のご機嫌を伺うこともなく、のびのびと光に向かって成長する力こそが木気の魅力でしょう。マイペース、という言葉は、日本社会ではあまり良い意味で使われないことが多いですが、生命って、もともと曖昧でマイペースなものでしょう?生命とは、すっきり割り切る(金気のようにはっきりあきらかに、は無理)ことができないのがその持ち味であり、マイペースこそがその良さであり力でしょう?
そんな話を、今年はあれこれあちこちでお話ししていきます。いまは仲春、春の盛りを迎えるところですので木気の話が中心です。ご興味ある方はぜひ一緒にめくるめく四季のイメージを旅してみませんか?
10日開催の「卯の巻」では、いかにも木気らしい雰囲気が溢れる有名人に加えて、伝説的バレリーナの麗しい命式の数々や(卯が効いてる人多数!つまり魚座関係者でもある)などを検討していきます。23日開催の「陰占入門」では、干支から読んでいく手順や重要なポイントなどを主にお話ししていきます。4月20日は「辰」の巻を開催します。これまた複雑怪奇?な土の読みに取り組んでいきましょう。
どの回も初めての方がたくさんお越し下さっているので、初めての方もぜひどうぞ。お待ちしております。(天海玉紀)