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2017/07/28 愛することと働くこと

精神分析の創始者フロイトは「健康な大人の条件」を聞かれ、「愛することと働くこと」(Lieben und Arbeiten)」と答えたそうです。家庭生活が幸せで、職業生活も順風満帆で「愛すること」「働くこと」どちらもじゅうぶん満たされている、という方もいらっしゃることでしょう。たいへんうらやましいです。どちらかが順調で、どちらかがうまくいっていないという方もいらっしゃるでしょうし、はたまたどちらもうまくいっていないよ!という方もいらっしゃるかもしれませんし、そもそもその二分法と定義はどうなの?!という声も聞こえてくるようです。

「仕事はとてもうまくいっている。でもパートナーシップがうまくいかない」というご相談がここ最近続きました。占いのロジックを考えても、仕事運とパートナー運は、同時にどちらもすばらしい!というわけにはなかなかいかない気がするのですが、そのあたり、みなさまはいかがでしょうか。わたし自身は大昔からあまりにもどちらもうまくいかなくて八方塞がりだったので、おもいきって仕事に時間とエネルギーを全振りしたら、仕事だけはなんとか少しは回るようになった、気がします。でも、それも気のせいかもしれないです。自分の時間とエネルギーを無条件に割いてもいいくらい「愛している」のはペットの動物たちだけかも。たいそう不健康な大人でごめんなさい。

働く世界には、公正さや合理性、明快さや能力主義が似合います。働く世界には、好き嫌いやえこひいき、排他的で曖昧で雰囲気でわかりあうようなやり方は似合いません。愛する世界には、理屈がなくて、非合理で不条理なことがたくさんあります。愛する世界には、合理的に損得勘定を重視する働く世界のルールが通用しないことが多々あります。どうやら、働く世界と、愛する世界、それぞれの特徴や得意分野は、まったく逆の方向性を向いているようです。(陰と陽、月と太陽、男性天体と女性天体など、さまざまな連想がひろがります)

占いの勉強はもちろん底なしに深くておもしろいのですが、いざ実際の解釈をして、お客様にお話ししようとすると、そこにはそれぞれの占い師の考え方や価値観が大きく影響してきます。これはもう、占いロジックの勉強だけではカバーしきれない部分があるのは否めません。特に、結婚、離婚、家族関係、恋愛、不倫、LGBTあたりのテーマには、一筋縄でいかないさまざまな価値観がある時代にわたしたちは生きています。「わたしはこうだった」「世の中はそういうもんだ」「伝統的にそうだ(その「伝統」ってそもそもなに?)」だけでは、人の心には届かず、現代のお話としては通用しないようなケースにたくさんおめにかかります。

東京式のお盆は7月が多いらしいです。ということで、今年のお盆はとっくに終了です。

最近読んで、非常に面白かった本はこちら。それぞれの時代と社会における婚姻制度の歴史や意味、これからの家族の形態にご興味がある方にはぜひオススメの一冊です。

「結婚と家族のこれから〜共働き社会の限界」筒井淳也(光文社新書)→★

「結婚ってそういうもの」と言われる常識ってなに? 「伝統的」家族とは?自分自身の思い込みや狭い視野からの解釈ではなく、よりフラットで歴史を踏まえた視点が得られます。わたしは、占いが当たるかどうか、お客様にとって役立つにはどうしたらいいか?質と精度の向上のために、占いロジックの勉強だけにとどまらず、社会の情勢や出来事の背景にまで視野や理解を広げていければと思います。そんなわけで、なにをやっても私の生活や関心ごとはすべて「働く世界」に直結しております。「愛する世界」のテーマに取り組むのは、次の人生かな。(天海玉紀)