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20170309 インナーチャイルドカード講座の開催にあたって

先月の愛知県での開催に続いて、3月下旬と、4月中旬開催予定の「インナーチャイルドカード講座(小アルカナ)」編のお知らせが、たいへん遅くなっていて申し訳ありません。

ようやく概要をUPすることができました。平日夜の部と平日昼の部とありますので、ご興味ご都合合う方はぜひご参加いただけますと嬉しい限りです。

2017年春・インナーチャイルドカード講座(小アルカナ編・全2回)

お知らせ自体はあっさりまとめましたが、この小アルカナ編の続編となる、大アルカナ編や、今後の展開までを視野に入れながらご案内文を途中まで書いたところで、そこではたと手が止まっておりました。

ここしばらく、ご予約以外の空き時間には、ブログもSNSも放置して、ひたすら昔のノートやら書籍に向かい合っておりましたので、そのあいだに考えたことを言い訳代わりにここにメモしておきます。

インナーチャイルドカードを用いるにあたっては、童話や民話、伝統的な象徴についての知識だけでなく、現代人にとっての「物語」についての理解も必要です。わたし自身は、インナーチャイルドカードが、それぞれの人がそれぞれにとっての心の「物語」を見つける一助になればと考えています。

しかし、西洋的な文化のもとに、西洋で生まれたインナーチャイルドカードを、原作や著作者による意図や解釈そのままで日本人に適用するのは難しいと感じることがときどきあります。

「父なるもの」を頂点とするキリスト教文化圏と、八百万神(やおよろずのかみ)がおわしまする日本文化は背景がずいぶん違います。問題解決に至る方法も「勇者がドラゴンを倒す」「闇を明るく照らして光と統合する」といった西洋型だけでは説明がつかなかったり、実感を得られない方もいらっしゃいます。

 

現代の日本は、東洋的な儒教思想に基づく「家族」に代表される血縁、従来的な男女の役割分担、生まれ落ちた地域の地縁などが薄れ、それぞれが「個」として個性を伸ばすことが推奨される場面が増えています。しかし、占いにおいでになられるお客様にとってのお悩みやテーマの多くは、現実のあれこれと「個」との両立が難しく、バランスがうまくとれないことが原因であるように思います。

現代人の中にはすでに、従来からの日本人的な心性と、西洋型の思考やロジックとが両方あって、どのようにそれらを両立させ、自分自身にとっての「しあわせ」を実現していくかが、多くの人にとって一つの大きな課題です。

人間の心の深層に関わる「物語」研究や、西洋の「物語」と日本の「物語」との比較研究としては、河合隼雄氏の膨大な著作があります。(いかにご紹介するこのあたりは新しく編纂しなおされて読みやすくなっていますので、ご興味ある方はぜひおすすめです)

※ 忙しく経済状況も不安定な現代では、自分にとっての「物語」を探索しようと中途半端に心の深層に降りていこうとしたり、眠ったまま奥底に沈んでいる心の深みや歴史を探索するよりは、「いま、ここ」の瞬間にフォーカスしたり、理由は問わずに直接ストレートに問題解決をめざす技法のほうが人気があるのも確かです。

 

さまざまな価値観が並列して共存する現代においては、なにかひとつの価値観がすべてというわけでもなく、個性化のプロセスはひとすじなわでもなく、経済の状況も右肩上がりでもなく、悩みなく健やかに生きていくことだけであっても、実際にはなかなか簡単ではありません。そんな中では、もっとシンプルに手軽に、短時間で効果をあげられる!とするメソッドが流行しやすく、インナーチャイルドカードのようなメソッドは時代には合わない側面があるのかもしれない、とさえ感じることもあります。

そもそも「何のために生きるのか」「わたしが生まれた意味は?」そんな問いが生まれるのは、現代だからこそでしょう。それ以前の生存(衣食住に困らず生きていくこと)が保証されるかどうかも危うければ、問題は「物語」以前のことかもしれません。

しかし、不自由なく衣食住が満たされたからといって、それだけで満ち足りるのか、というテーマもあるわけです。それぞれにとってのそれぞれの「物語」は、それぞれが生きる上での指針や羅針盤のような意味を持つのではないかと考えます。

そもそも現代人にとっての「物語」とはなんなのか?いっけん荒唐無稽に感じられるような心の「物語」が、日々の生活や人間の心にとってどんな影響をもたらすのか?今後の講座では、そのあたりのことを、もう少し簡潔にわかりやすくお話しできればと思います。

インナーチャイルドカードは、もともとはタロットカードですから、占いの「鑑定」のように用いることも可能です。タロットカードに慣れている方だったら、タロットカードの一種として使ってみるのも一つの方法ではないかと思います。そこからご自分なりの使い方のコツをつかまれる人もいらっしゃることでしょう。

また、絵を見てそこから連想されたことやイメージを自由に語る方法は、「投影法」と呼ばれる技法に似ています。10年以上前、自分が臨床心理学の修士課程に在籍していた時の実習ノートを掘り返して、いまいっしょうけんめいにあれこれ振り返っています。お話しの聞き方、質問の仕方、記録のとり方など、すっかり忘れていた大切なポイントがいろいろありました。

お客様からのお話しの聞きかた、話題の進め方や時間配分などについても、少しずつ整理してお伝えしていければと思います。

インナーチャイルドカードの根底的なところには、人間性心理学のロジャーズが述べたような肯定的な人間観が流れていると思われます。(人間には有機体として自己実現する力が自然に備わっているので、この成長と可能性の実現を促す環境をつくることが大切である、とする)

カウンセリングにご興味のある方々や、学んだことのある方々は「来談者中心法」のカール・ロジャーズによる「傾聴」についてご存知の方も多いでしょう。ロジャーズによる傾聴の条件(肯定的配慮=受容、共感的理解、自己一致)といったテーマについても、ゆくゆくはお話できるチャンスがあればと思います。

※ 個人的には「傾聴」でなんでも解決するならいいよね!と毒を吐きたくなることも多いですし、使えるものはなんでも使いましょう、という立場ですが、それでも頭ごなしになにかの価値観や指示を押し付けるくらいだったら、傾聴の姿勢はずっと良い。

入門タロットカード・体験講座(昭和の森カルチャーセンター)

偶然ながらも、4月から新しい場所でタロットカードの講座を担当させていただくことになりましたので、いまさらながらにタロットカードの構成や背景、西洋と日本の技法の相違点について、改めて掘り下げて考えております。

ということで、このあたりのことを含んだ上で「インナーチャイルドカード講座」のご案内自体は、ごくごくあっさりまとめます。

「どこまでも極めつくしてから!」講座にするとなるときっと寿命が尽きてしまうので、いまの段階での最上の内容を、コンパクトにわかりやすく凝縮してお伝えできるように準備してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

いま夢中になって読んでいる本はこちらです。高尚で難解な理論は美しくて、それを学ぶことは本当におもしろい。でも地べたでなまなましい現実で行われる臨床は、それはそれでやっぱり力強くリアリティに満ちておもしろいです。