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20190426 太陽の東・月の西

ワタクシのところでは、もともと大まかにいうと「もっと自分自身が自分の人生の主人公になりたいんだ!」というテーマのご相談が多いです。西洋占星術でいうなら「もっと自分の太陽を使うんだ!」と言われる類のテーマです。

さらになぜか最近「受動天体(月とか金星とか)」とか「拡大系の天体(木星とか海王星とか)」の要素には、ふだんから親しまれていて、その恩恵を大いに受けて豊かで楽しく暮らしていらっしゃるけど、その反面「能動天体(太陽とか火星とか)」や「絞り込み系の天体(土星とか天王星)」にはなじみが薄い、そうした要素を開発していないのでは?という話題がめじろおし!でございました。

駆け出しのころに、能動天体よりも受動天体のほうが優勢な方々に「あなたも人生の主人公に!」とか露骨にストレートに垢ぬけないこと言って、イヤな顔されたことがなんどもありました。あ、そうなんだ。この話題って正面から向かい合うにはとてもデリケートで、ときにアンタッチャブルなんですね。よくわかりました。いまはもうちょっと形を変え、手を変え品を変えながら、取り組んでいます。

女性の場合は特に「自らが人生の主役」ではなく、「誰かや家族のために」「受容的で曖昧で」「周囲に気配りしてサポートする」ことが社会的に良しとされてきた歴史があるからでしょう。世の中にはきっと「わたしには、自分自身の手で人生を切り開くなんて、そんな勢いよく勇ましいことを言うなんて、全然ピンとこない」と感じられる方々も少なくないのでありましょう。

だけど「太陽は公的な顔で生きがい、明晰さ、理想であり主体」「月は私的な顔で安心感、無意識、自動的な反射」というのは、現代の西洋占星術では基本中の基本の話ではないでしょうか?確かに、太陽と月を同時にどちらも満たすのは難しい配置の人も多いけれど、できる限り、時と場合に応じて、どちらもしっかり満たしたほうが幸せなんじゃないかな?そのための対策ができるのは、占いの利点じゃないのかな?

現場で出会う多くのお悩みは、基本中の基本にまつわるお話であるようにおもいます。たとえば昔話の中で、やんごとなき姫が「みてはならぬ」ものをみてしまったゆえに、大切なものを探求する厳しい旅に出る昔話は、自分の中の「男性性と女性性」を統合させるためのメタファーだといわれています。その道は決して平たんで楽なものではなく、道中には幾多の苦難があるのだけど、多くのお話にはその果てに達成や充実がある(はず)でしょう。それは人生という旅のようなものにもなぞらえられます。

まだ見ぬ、まだ知らない、まだよく解き明かされていない複雑難解な占術秘伝!の中に我が運命のカギと、人生一発逆転!の秘策が隠されているに違いない!と素直に信じたい気持ちもいまだ完全には失ってはおりませんが、あれこれいろいろ学べば学ぶほどに、細かいテクニック以前に、まずは基本をしっかりおさえることが必要だろうとおもっています。基本もだいじ。初心もだいじ。(天海玉紀)

※ 「太陽の東・月の西」はノルウェーの民話。