立春も旧正月もすぎて、いよいよ亥年が本格的に始まりました。十二支が普及しているアジア諸国の中では、日本だけが「亥=いのしし」で、中華圏や韓国、ベトナムなどでは「豚年」なのだそうです。ぶひぶひぶひー!
もともと十二支は単なる記号で、動物の名前はあとから便宜的につけられたので、動物の意味は本来の意味とは関係ない、と言われます。とはいえ動物の性質からその意味を連想したり類推したくなるのは、人情というものでしょう。しかーし、野生のイノシシと、家畜のブタでは、だいぶ印象が違いますね。例えば、こんな記事をみつけました。
「ER緊急救命室」を見ていたら、年末の一際忙しい時に産気づいた華僑の妊婦さんが担ぎ込まれて来る場面が登場しました。そこで妊婦さんに付き添ってきた旦那が、何とか今年中に産ませてください。今年は戌年、来年は豚(ブタ)年、ブタ年生まれの子は怠け者になるって親がうるさく言うんです。「こよみのページ」→★
へええーーー。そんなこと言うんですね。日本では「丙午年」生まれを避けて1966年生まれの出生数が前年に比べて25%下がりましたが、それ以外には、そこまで生まれ年にこだわる例はあまり聞かない気がするんですが、いかがでしょうか?(もし身の回りでそういう例や俗信をご存知でしたら、ぜひ教えてください)
こちらは、春節直前の神戸中華街で出会った黄金のブタさんです。お腹を押すとドスの効いた低音で「ぶひぶひぶひ♪」と鳴きます。小さいサイズの子豚ちゃんもいて、こちらは甲高い声で「びきー!びきー!」と鳴きます。かわいい♪
多産なブタにあやかって子孫繁栄を願い、さらには富と繁栄の象徴としてのブタさんなのでしょう。なんといっても財の色は黄色(金色)ですから、金のブタだとますます縁起が良さそうです。今年は「己」で黄色を司る土の年ですから、ますます黄金パワーもUPです。この金のブタさん、こんどの講座の時に連れて行きますね♪
十二支関係ないですが、ドイツ語では、思いがけず良い事があった時「Schwein haben」(豚を手に入れた)、運が良かった「Schwein gehabt」(豚を持っていた)というそうです。へええーーー。
また、韓国では「ブタ」と「お金」を意味する単語が同じ綴りなので、ブタは財運UPの象徴としてたいへん愛されているとのことです。世界中のあちこちでまるまると太ってのんびりした「ブタ」の姿から、豊かで安定した生活のイメージが広く共有されているのでしょう。
日本ではイノシシ年は「猪突猛進」のイメージが先行でしょう。子供のうりんぼのうちは可愛らしくても、成長すると農作物を食い荒らす害獣にもなってしまうイノシシとは、だいぶ雰囲気の違う「豊かなブタ年」のイメージもぜひご自身のイマジネーションの中に取り入れてみてください。みなさまにとっても良き1年になりますことを!(天海玉紀)