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2017/01/27 ホモ・サピエンス最大の特徴

上野の国立科学博物館で開催されているラスコー展 →★ がおもしろいそうです。昨年流行った「逃げ恥」の舞台にもなったそうでございます。へー。2/19までなので行ってみます。この展覧会を監修なさった人類学者、海部陽介先生のトークショーを先日拝聴しました。クロマニヨン人より前の時代、ネアンデルタール人やハイデルベルク人などには絵を描いた痕跡がないのに、クロマニヨン人の時代には洞窟壁画が各地で見つかるそうです。彼らは、皮をなめして裁縫をしたり、貝や石や木材のビーズを作って複雑な装飾を施したり、たいへんにお洒落だったとのこと。彼らの作った彫刻の動物たちはなんとも生き生きとして愛らしいです。→★

それまでの人類祖先とは違った人類(ホモ・サピエンス)最大の特徴は、「わざわざよけいなことをやってみる」「やらなくてもいいことをあえてやる」=クリエイティビティ(創造性)やチャレンジ精神というお話がありました。場内騒然! わざわざ膨大な手間ひまをかけて絵を描いたり彫刻を作ったり、そのままでも十分に暮らしていけたはずなのに、わざわざ海へ出て航海して新しい島を探したり、極寒の地を経て新しい大陸へ渡ったりした人々が出てきた理由は、合理的には説明がつきませんし、証明もできません。「なぜ?」わからないけど「やってみたかった」ということなのでしょう。

彼らは、絵を描くための塗料や顔料となる画材を遠く何十キロも離れたところへ採集しに行き、画材を自作し、さらに洞窟の奥底の真っ暗な暗闇の中へ、わざわざランプを持って入って行って、念入りにさまざまな絵を描いた。そうした絵が描かれている洞窟の奥には、ほぼ確実に手形があるそうです。(手相もわかるのかな?!)彼らが、いったい「なぜ?」「なぜ描くようになったか?」その問いに科学的に答えたり証明することはできないわけですが、なんとも不思議です。

「体をなめるバイソン」10cm足らずのトナカイのツノに彫刻された精巧な作品。

「おもしろそうだから」→ 創造性といえば、占星術なら5ハウス。東洋だったら洩気。どちらも「火」に関連する領域です。衣食住と身の安全が保証されたら(1-2-3-4ハウス/自気=木気)、次は「なんかおもしろいことやってみよう」と、その次の段階に進むということですね。しかしこのことが「人類(ホモ・サピエンス)最大の特徴」とまで言われると、ちょっとびっくりします。とはいえ、その程度からのスタートで良いなら、創造性(クリエイティビティ)や想像力(イマジネーション)は、職業的な芸術家だけの特権ではなく、意外と親しみやすく身近なことなのかもしれません。

よーく考えてみると「なんかおもしろいことやってみよう」とチャレンジしなければ、人間としての特性をじゅうぶんに生かしていない、ということですね。そしてどうやら、おもしろい=チャレンジ精神なら、単におもしろおかしく楽をする、という意味でもありません。日々の生活に不安があって、ちゃんと食べれてちゃんと眠れてなくて、そんな状態だったら、何をバカなことを言っているんだ、と一蹴したくなるし、されそうですけど。

「人類の最大の特徴は、わざわざよけいなことをやってみる。やらなくてもいいことをあえてやる」ことにあるんですって!と、あえて大きな声で言ってみます。理由なんかない。やってみたかったから。おもしろそうだから。創造する。想像する。おもしろくなかったら、せっかく生きてる醍醐味を味わえなくってもったいないと。(天海玉紀)

※ 写真はすべてこちらから
監修者が解説!ココが見どころ「世界遺産ラスコー展」→★