ご家族鑑定のこと(其の3)

しばらく間が空きましたが、「ご家族鑑定について」シリーズ続きです。

鍼灸師を長くやってますと、医学的には説明のつかない症状を何度も繰り返したり、いわゆる不定愁訴と呼ばれるような状態〜脈絡もなくさまざまな不可解な症状を訴える方々には、しばしばお目にかかります。

これはきっとシンプルな肉体的な不調だけでなく、背後にメンタル不調の要素が隠れているだろう、と予想されるケースであっても、こちらからそのことは口にはしません。そのうち、長くお目にかかっているうちに、ぽろりとそうしたお話がでてくることがあるので、そのときにはもちろんお話を伺います。

すると、いっけん穏やかでしっかりと社会生活を営んでいる方々から、肉体的な虐待、精神的な虐待、無関心、過干渉など、その方が子供の頃から育った環境にまつわるぎょっとするようなお話がでてくることでてくること。

まだ無力で、親の庇護のもとでなければ生きていけない年齢の頃から、あまりにも理不尽(としか考えられない)な目にあってきたお話には、もちろんそれぞれにさまざまな背景があって、親は親で言い分があり、苦しみがあったかもしれません。

しかしながら、あまりにも理不尽な仕打ちや過酷な環境が、子供自身の「自分は自分。これでOK」「そのまんまそこにいていい」といった基本的な自己肯定感をどれだけ損うことか。驚きのあまり、言葉を失うことが何度もありました。

こどもたちの遊戯療法の現場に携わったこともあります。地域的にもかなり荒んだ場所で、想像を絶するような環境で生きているこどもたちがたくさんいました。なにもしてあげることはできなくて、業務の中で、その時間内と役割の中で、せいいっぱい誠実に向き合っていっしょに真剣にあそぶこと、それがそのときの仕事でした。たとえ他人であっても、大人が真剣に自分に向き合っている、という時間と体験が、こどもたちにとって少しでも支えになる、という考えが遊戯療法の根幹にはあります。

無抵抗な子供の頃から、表現できなかった、言葉にできない積もり積もった思いが、大人になってから体の症状や不調として現れているとしか思えないケースはたくさんあります。でも、治療家の立場からは、それをご本人に申し上げることはほとんどないです。淡々と、粘りつよく、できることをするだけです。

私自身が占い師としてさまざまな方々にお目にかかるようになって良かったことのひとつは、厳しく理不尽な環境で育った方々に、お伝えできるメッセージと言葉を得たことです。

特に算命学を用いると「子供の頃からひどい目にあったことは本当に気の毒だし大変なことだったでしょうけれど、それは算命学からみれば、決して悪いことではなく、だからこそこんなにしっかりしたいまのあなたがいらっしゃるんですよ」とはっきり申し上げることができます。

長い時間をかけて失われた自己肯定感を取り戻すのは、なみたいていのことではありません。理由のない無力感、無気力、無目的な状態を、怠惰だと責める人達もいるでしょう。それでも仕事には行かなくては。やめてしまったらこの世の中ではあとがもうない。そういう場合もあるでしょう。養ってもらっていて、どこかに行かなくても良い場合は、ずーっと家に閉じこもっている方もいらっしゃいます。

心的エネルギー、なるものを心の器に満たすには、ひとりきりでは難しい。しかしながら、時間をかけてそうした心の余裕をとり戻し、心の豊かさを育み養うには、今の世の中はあまりにも厳しいように思います。

強烈に陰転しているとおもわれる親御さんが、いつまでたってもお子さん(といってももう中年です)にべったり依存して、精神的にも経済的にも甘えているような状態、というケースも少なくありません。親御さんが陰転しているかどうかは、命式を拝見して(陰転しやすい典型的なパターンというものがあります)、実際の様子を伺えばだいたい見当がつきます。

若い頃から反抗して抵抗して、家出したり物理的に離れて、経済的な苦労をなさってでも早く自立された方々は、比較的うまくおとしどころがみつかりやすいです。こういうタイプの方のお話には「そんなことがあるんだ…」とひたすら驚き、そこからこんな風になっていかれたなんて、人間の力ってすごい、とこちらがさまざまな大切なことを教えられる場合も少なくありません。

家族のつながりには、明快な理屈だけではとても割り切れない不合理で不条理なことがたくさんありますね。長い長い時間をかけて、複雑に絡み合ってこんがらがった糸を整理するためには、よく切れる刃物のような算命学のロジックは役に立つことがあるようです。

ご家族鑑定のこと(其の1)

ご家族鑑定のこと(其の2)

<補足>
ちなみに、わたし自身は心の不調から体調不良が生じることはある、と確信しています。しかしながら、その人自身の特定の考えや思想が、特定の症状の原因となる、といった発言は、不用意にすべきではないと考えています。

実際には、めまいや耳鳴り、不眠に悩む方々は、真面目で几帳面な神経質なタイプの方々ばかりです。でもそれは単なるわたしの経験則でしかない。真面目で几帳面で神経質だったら、全員がめまいや耳鳴りを発症するとも限らない。

例えば「自分自身の女性性を否定する→婦人科疾患になる」的な言説があるとします。実際にご本人がそう感じてご自分の体験談としてそうおっしゃるだけならともかく、赤の他人が他の人にそういうことを説いたり指図するのは、あまりにも短絡的で無責任であると感じます。(医師でそういうことしてる人たちもいますよね)

占い=決めつけ、になることをいちばん危惧します。「決めつけないこと」「先入観や自分の思想信条で喋らないこと」わたしの鑑定の中では、それはもっとも注意深く慎重であるべきポイントと考えています。

対面鑑定・講座のご案内
  • このエントリーをはてなブックマークに追加